恋人の権利は誰の手に?



それは、日常生活のほんの1コマ。



「すいません、1人部屋5つ取れますか?」



立ち寄った町のその宿は結構大きくて、久しぶりにみんな一人部屋になれそうだ。



「1人部屋5つね・・・うん、あるよ。」
「本当ですか?じゃ、その5つをお願いします。」



が旅に加わるまでは八戒の仕事だった宿取りだがが加わってからはもっぱらの仕事である。
本人曰く、「何もできないからこれくらいは・・・」だ、そうである。


「ところで・・・後ろの4人の兄さんたちはお嬢ちゃんの連れかい?」
「はい。」
「ふうん・・・。」



宿の女主人は、マジマジと三蔵たちを見たかと思うともう1度を見た。



「うん、お嬢ちゃんも可愛いし、兄さんたちもいい男揃いだし。もしかすると優勝できるかもしれないねえ。」
「・・・優勝、ですか?」
「ああ、で?お嬢ちゃんは誰と出るんだい?」
「え・・・えと?」



は、話が見えず女主人に問い掛けた。。そのとき、あまりにも時間がかかっていることを不審に思った三蔵達がの元へ来た。



「どうした。部屋が取れないのか。」
「いえ・・・違うんですけど。」
「いやだね、兄さんたら。兄さんがこのこと一緒に出るのかい?」
「・・・?」
「だから・・・何のことでしょう・・・?」



ようやくそれだけを聞くと、女主人は驚いたような顔をした。


「な・・・もしかして知らないのかい?」
「ええ・・・。」
「ベストカップルコンテストだよ。」
「「「「「ベストカップルコンテスト?」」」」」
「そう。明日開催されるんだけどね。優勝するのは名誉な事なんだよ。賞金も出るし、何より優勝したカップルは永遠の幸せを約束されるからね。」
「へぇー・・・そんなのがあるんですか。でも私たちには関係ないですよね。」



そう言ってが4人の方に振り向くと4人の間で無言の闘争が繰り広げられていた。
4人の心はただ一つ。「とコンテストに出る」それだけだ。



「え・・・えと・・・皆さん・・・?」
「なあっ!一緒に出ようぜ!何かおもしろそうじゃん。」



先陣を切ったのは悟空だった。
それに残る3人も続く。



「んな猿ほっといて俺と一緒に出ようぜ?俺とチャンなら優勝間違い無しだって。」
「何を言ってるんですか、悟浄。は僕と出て優勝するんですよ?それに、あなた相手だと悟浄が惨めになるだけじゃないんですか?」
「うるせぇんだよ、テメェら。は俺と出るんだ。」
「あのー・・・。」



もはやの存在は無視である。
ここで4人の戦争がはじまった。



「だからと出るのは俺だって。年齢差もそんなねーし、1番だろ?」
「言ってろ、馬鹿猿。チャンと出るのは俺しかいねーっつーの。ガキはすっこんでろ。」
「まだ言ってるんですか、悟浄。悟浄と一緒に出ると悟浄が惨めになるだけですよ?そんなのと出されるの身にもなってくださいよ。」
は俺と出るんだよ。文句は言わせねぇ。」
「っつーか三蔵って仮にも最高僧だろ?いいのかよ?」
「良いから言ってるんだろうが。」



バチバチという擬音がつきそうなほどの勢いで睨みあう4人。
はすでに何を言っても無駄だと悟り、その様子を傍観している。



「全く、これじゃらちがあきませんね。手っ取り早くカード勝負でもしますか?」
「「「却下。」」」
「何もそんな時だけ息を揃えなくても。」
「八戒とカードなんてやったら八戒が勝つに決まってんじゃん。」
「そーそ。不公平ってやつでしょ。」
「でも、僕は誰かさんと違ってイカサマなんてしませんよ?」



・・・どうして八戒が何か言った後には場の雰囲気が凍りつくのか、にとってはそれが不思議で仕方がなかった。



「あ!に決めてもらえばいいじゃん!」



そのときの悟空の一言に4人の視線がに集まる。



「え・・・?」



傍観を決め込んでいたは、急に話を振られて驚いた。



「悟空にしてはいいこというじゃねーか。」
「だな。チャンに決めてもらえば誰も文句はないっしょ。」
「そうですね。さて、は誰を選ぶんですか?」
「え・・・と・・・。」



4人の視線が集まって居心地が悪い。



「え・・・それって参加決定ですか?」
「なー誰だよ。」
「さっさと言っちゃった方が楽だよ?」
「誰を選んで文句は言いませんから。」
「早くしろ。」



なんだか、罪を白状する罪人のようで気が進まない。
けれど、言わない事には全てがすみそうにはなかった。



「・・・さん。」
「え?」
「だから、八戒さんですってば!」



は顔を真っ赤にして叫んだ。
それを聞いて八戒はニッコリと微笑んだ。



「さあ、これで問題はありませんね。そうそう皆さん・・・邪魔は、しないで下さいね?」



笑顔なのに・・・。
笑顔なのにどうしてこうも怖いのか・・・。



「では、登録しておきましょうか。」
「はい・・・。」
「まあ、僕たちの優勝は間違いないでしょうけどね。」



その後、2人が優勝できたかどうかは別の話・・・。





×××××

ぎゃ・・・逆ハー・・・?
ってゆーかベストカップルコンテストって・・・!
もーちょっとましなネーミングを思いつけんのか、私。
え〜と・・・こちらは雪月サマに差し上げます。
こんなの貰って嬉しいのかどうかはわからないのですが・・・。
煮るなり焼くなりなんなりしてお気を晴らしてもらえれば・・・。
あ・・・でも交換は不可能です。
(交換したとしてもこれと同レベルのものしか作れないので。)
それではこの辺で・・・。
失礼致します・・・。(むしろ逃亡?)



******
やほーい、逆ハー!!
大好きです逆ハーv
そしてオイシイですヒロインv
最後に八戒さんで、とお願いしたのですが、
本文中でも八戒さんのイイ性格したセリフがたまらないですっ!
史遠さん、どうもありがとうございました!!





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