『探し物』





「オラクルベルをなくしたーーーーーーーっ!?」


それは、今日のシャーマンファイトも終わり、ちょうど一息をついていた頃。

葉の発言に、皆の声が宿舎中に響き渡った。


「何考えてんのよ!」


と怒鳴る者。


「ブハー!馬鹿だなーおめー」


と吹きだす者。


「フン、愚か者め」


と馬鹿にする者。

仲間達の反応は様々だった。


「さっき見たときは確かにあったはずなんだけどなー」


葉は頭を掻きながら言う。

言いながらもユルイ笑いを浮かべている葉に、ブチキレた者がいた。

である。


「ちょっと葉!笑ってる場合じゃないでしょ!オラクルベルがなかったら、

 シャーマンファイトに出れないでしょうがっ!!」

「そっか、そいつは困ったな」


葉は今気付いたかのようにポンと手を打った。


「あきれた・・・あんた本当にシャーマンキングになる気あるの?」


は頭を押さえて問う。


「おお、あるさ」

「じゃあ探しに行かなきゃ!陽が完全に暮れてしまう前に」


窓の外は既に太陽が傾いている。

あと1、2時間もすれば完全に陽は沈み、ものを探すどころではなくなるだろう。


「そうだな、早く探さねーとな」


ということで、みんなで葉のオラクルベルを探すことになった。

ホロホロと蓮、竜とチョコラブ、ファウストとまん太。

二人ずつに分かれて、別々の場所を探し始めた。

アンナとたまおは宿舎でお留守番。

無鉄砲なは、葉と一緒である。


「ねぇ葉ー、何か心当たりはないの?今日どこに行った?」

「そうだなー、今日はオイラの試合はなかったからなー。

 いい天気だったから近くの森に散歩に行ってー」

「そこで落としたのね?」

「そうなんかなー?」

「よし!葉、案内して!!」


葉の先導のもと、二人は深い森の奥へと入っていった。

ただでさえ鬱蒼としている森は、夕暮れ時の今、一層暗く薄気味悪い。


「これじゃ見つかりっこねぇなー、弱ったなー」

「そんな簡単にあきらめないでよ!何としてでも見つけないと!」


でないと葉がシャーマンファイトに出られなくなっちゃう。

少しでも葉の役に立ちたい、という思いと、

葉に認められたい、という思いがを突き動かした。

は地面に膝を付き、文字通り草の根を掻き分けて必死で探した。

必死で探すあまり、まわりが目に入らなくなっていた。

気付いた時には葉とはぐれていたのである。


「葉?ねえ葉、どこ?」


ずいぶんと森の奥深くまできてしまったらしい。

帰り道もわからない。

どうしよう・・・・・・。

そこへ、ピーーーーーーーーッと聞き覚えのある電子音が聞こえてきた。


「これは・・・確かにオラクルベルの音・・・!!」


音はそう遠くはない。

は目を凝らした。

そして、地面が落ち窪んでいるところにオラクルベルを発見した。

見つかったはいいが、帰れなければ意味がない。


(どうしようこのまま帰れなかったら・・・・・・)


不安が襲ってきて泣きそうになった。

すると突然ガサっと目の前の繁みから物音がした。

野生のクマか、あるいは狼か。

怖い。帰りたい。葉、助けてーーーーーーーー。




っ!!!」


突然誰かに抱きしめられ、はしばし呆然とした。


「こんなとこにいたんか、オイラ探したぞ」

「よ、葉・・・?」


は葉の姿を認めると、


「葉〜〜〜〜〜〜!!」


彼の顔を見て安心したのか、葉の腕の中で泣き出してしまった。


・・・」


葉はを抱きしめる手に一層力を込めた。

が泣き止むまで、葉はただ黙ってそうしていた。






数十分後。


「よ、葉?もう平気だから・・・・・・」

「駄目だ。オイラ死ぬほど心配したんだからな。我慢しろ」


そう言って葉はいっこうに離れようとしない。

心配をかけたのは事実なので、葉に逆らうこともできない。

しかし葉はといえば、せっかくと二人きりになれたのだから、

ただたんに口実が欲しかっただけなのである。







そしてさらに数十分後。

はさっきから静かなまま。


、そろそろ帰るか・・・」


葉がの顔を覗きこもうとすると・・・・・・すやすやと穏やかな寝息が。


!?」


とにかく必死にオラクルベルを探していたので、疲れて眠ってしまったらしい。


!起きろ!!」


どんなに声をかけても、揺さぶっても、は起きようとはしない。

完全に夢の中だ。


「・・・・・・しょうがねえな」


葉はを背負うと、暗く深い森の中を、一人歩き始めた。


「あーあ、本当はと手をつないで帰るつもりだったのにな」


全てはオラクルベルをなくした葉のせい。

自業自得である。








*後書き*

444HITの亜梨奈さんのキリリクドリでしたー。
下心まるだしの葉くんです。
甘々になってるでしょうか・・・・・・しまった!
最後ラブラブなリクだったのに、最後にしょうもないオチをつけてしまいました(汗
こんなのになってしまいましたが、受け取って下さいませ。
っていうか押し付けてしまいます!(爆