『ふんばりが丘より愛をこめて』



カタンカタン カタンカタン

単調なリズムを刻んで電車がゆれる。

天気は快晴。

絶好のお出かけ日和。

今日、私はとショッピングに行くのだ。

は小学校のときからの私の親友。

何事もはっきりとものを言うと、ちょっぴり引っ込み思案な私。

そんな対照的な二人だが、不思議と気が合う。

ものの好みだって全く違うというのに。


ー、この前のジャンプ見た?ハオ様がさー」

「この頃つまらないよー。蓮くんでてこないんだもん」


そう、例えばこんな感じ。

私とはシャーマンキングという漫画が大好き。

けれどはハオ派で私は蓮くん派、好みは真っ二つに分かれるのだ。


「蓮、蓮ってどこがいいのかねー、あのトンガリくんの」

「ひどーい!蓮くんの悪口言わないでよ」


そんな風にとおしゃべりをしていたはずなのに。

だんだんうつらうつらとしてきて。





「・・・っ、ったら!」


どうやら眠りこけてしまったらしい。

友達といる時でも電車に乗るとついうとうとしてしまう、私の悪い癖だ。


「ごめんねー。私また寝ちゃ・・・」

「そんなことどうだっていいの!今の聞いてなかったの!?」

「へ・・・?」


が妙に興奮している。


「今のアナウンスよ!次の駅、何て言ったと思う?」

「何て言ったの?」

「ふんばりが丘よ、ふんばりが丘!!」

「・・・そんな変な名前の駅、あったっけ?」

「かーっ、もうあんたって子は」


そう言っては額を押さえた。


「ふんばりが丘って聞いて何も思わないの!?

 シャーマンキングの舞台でしょうが!葉達の住む!」


は寝ぼけてるんだろうか。

だってそれは漫画にでてくる架空の場所じゃないか。

そう思って口にすると、


「寝てたのはあんたでしょ!」


と一喝されてしまった。


「とにかく見てなさいよ。あたしの聞き間違いなんかじゃないんだから」


いつになくの口調は真剣だったが、それでも私は信じられなかった。

ところが。


『次は〜ふんばりが丘〜、ふんばりが丘〜』


確かにそう言ったのだ。


、次降りるよ!」

「えっ!?」


興奮気味のは、電車が止まるなり私の腕を掴んで、

勢いよくドアから飛び出した。


「ちょっと、ショッピングはどうする・・・あ゛〜!!!」


電車のドアがしまってしまった。


「あ〜あ・・・」


動き出した電車を見た私は、とんでもないことに気付いた。


「この電車、池々袋行きになってる・・・」


池袋、ではない。池々袋だ。

漫画では確か、ホロホロとのシャーマンファイトが行われた場所・・・。


「ねえ、どうする気なの?」

「決まってるでしょ?せっかく来たんだから、まずはこの町を探検するのよ!

 もしかしたら葉達に会えるかもしれないじゃない」


は瞳をきらきらさせて言う。

確かにそんな夢みたいなことが起これば素敵だけど。

でも、見知らぬ町に私との二人だけで。

しかもその町というのが漫画に出てくるのと同じ名前なんて、

なんだか怪しいし、怖い気もする。

そんな私の気持ちを察したのか、が私の手を握り、明るい声で言った。


「大丈夫だって。その辺ちょっと歩いてきて何もなかったら帰って来ればいいじゃん。

 ほら、何とかなる何とかなる」


が葉くんのおなじみのセリフを言った。

私達二人の大好きな言葉。


「そうだね、何とかなるよね」


かくして私達は、期待と不安を胸に謎めく(?)町に足を踏み入れたのだった。





*あとがき*

まだマンキンキャラ誰もでてきてません(汗
この物語は、蓮くん大好きなちゃん(主人公1)と
ハオ様ラブなちゃん(主人公2)のダブルヒロインとなってます。
原作沿いなのでとても長い連載になると思いますが、
どうぞお付き合いくださいませvv



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