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『ふんばりが丘より愛をこめて 1』 勢い込んで謎の町に足を踏み入れた私達だったが。 「なーんだ、期待して損したー」 はがっかりしたような声をだした。 ドキドキしながら探索を始めたものの、何のことはない どこにでもあるような普通の町だったからだ。 「まーそういうもんだよ。夢を見れただけでも良しとしようよ」 内心少しがっかりしつつも、私はを励ました。 「もうそろそろ帰ろう?だいぶ暗くなってきたし」 「まだまだあきらめなーい」 は一度決めたことをなかなか曲げようとしない。 しょうがないから、もう少しだけ付き合うことにした。 「じゃあ、あの子に聞いてみようよ」 私は前を歩いている小さな男の子を見つけ、指差した。 「でもあの子って幼稚園くらいじゃない?あんな子に聞いたって・・・」 は不服そうだが他に人はいない。 私は構わず男の子を追いかけ、声をかけた。 「ねー僕ー、ちょっといいかなー?」 男の子が立ち止まり、振り返った。 あきらかに不愉快そうな顔をしている。 「何だい君たち。僕に何か用?」 年の割りにずいぶんと大人びた口調をする子だ。 「あたし達ある人を探してるんだけど・・・そうだ!この辺に 元民宿だった『炎』ってところ知らないかな?」 「『炎』?何だ、君たち葉くんの知り合いかい?」 「知ってるの!?やったー!!聞いた?この子が知ってるって!!」 私は大喜びでの手を掴み、ぶんぶんと振った。 ところがは、男の子の顔をじっと見つめたまま視線をそらさない。 それからしばらくして、 「あ゛〜〜〜〜〜〜〜!!!!」 男の子を指差し、大声で叫んだ。 「ちょっと、人を指差したら失礼でしょ!」 「・・・あんた何バカ言ってんの。これ・・・こいつって・・・ まん太じゃない!!!」 「え〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!」 今度は私が叫ぶ番だった。 言われてみれば、薄茶のさらさらヘアーにこの口調。 おまけにこの小ささ。 「でも・・・でもこんなに小さかったなんて・・・!」 私はショックで口を覆った。 すると目の前の少年は思いっきりジャンプし、 「何なんだ君は〜!!」 鋭く私にツッコんだ。 このツッコミ。オーバーリアクション。 もう間違いはない。 「ほんとに本物・・・。あたし達、本当にふんばりが丘に来ちゃったんだ・・・」 まん太の言葉を借りるなら、それは、魂の世界をめぐる冒険。 平凡な毎日を送っていた私とを巻き込んで、 唐突に始まったのだった。 *あとがき* やっと一人めでてきました。まん太です。 これからだんだんといろんなキャラが登場します。 ほぼ原作に出てくる順番どおり。 次はちゃん(主人公2)の視点で、彼女が語ってくれます。 その次はまたちゃん→ちゃんという風に交互になる予定です。 わかり辛くならないよう頑張ります! back next |